介護複合施設まとい|島根県益田市
- 新築
- 福祉施設
介護複合施設まとい|島根県益田市
- 発注者
- 社会福祉法人暁ほほえみ福祉会
- 所在地
- 島根県益田市高津町
- 竣工年
- 2020年3月
- 主要用途
- 介護老人福祉施設 | 特別養護老人ホーム
- 構造
- 木造
- 規模
- 1階
- 延床面積
- 1615.00㎡
- 構造設計
- 有限会社福岡構造
- 電気設備設計
- 有限会社シード設計社
- 機械設備設計
- 有限会社シード設計社
- 照明デザイン
- 合同会社LIHGT・PLAN
- サイン計画
- 株式会社マイサ
- 外構計画
- 竹林スタジオ
- 施工者
- 徳栄建設株式会社
- 撮影
- 八代写真事務所
■安心できる地域の居場所としての特養
これまで地域の一拠点として保育事業を行っていた当法人は住み慣れた地域での生活を支援する必要性を感じ、平成30年にサービス付き高齢者住宅事業「介護複合施設つむぎ」を開設した。今後は低所得者や重度の要介護者への支援の必要性を感じ取り、今回提示する地域密着型特別養護老人ホーム(以下、地域密着型特養)「介護複合施設まとい」を計画するに至る。
計画地は島根県益田市の中心部からほど近い高津地区であり、先述した介護複合施設つむぎの隣接地である。
地域密着型特養を計画するにあたっては、安心できる地域の居場所としての建築が求められ、多世代交流の場としての機能を併せ持つ特養を目指した。
地域に対して、また入居者に対して包容力のある空間を提供できるよう「みんなの庭」を中心とした中庭型の建物配置を行った。散歩道や畑、花壇など、入居者やその家族、園児、地域住民が日常的に利用し、お互いに交われる機能を計画している。
■視覚的交流を促す
入居者の住まいである住居棟は2ユニットを1棟とし、みんなの庭・地域交流スペースを囲むように、分棟型の配置計画を行っている。各住居棟はみんなの庭に対してコの字型の平面形状とし、各ユニット同士がみんなの庭を介して視覚的につながるよう配慮している。
日常の生活空間であるリビング・ダイニングからもみんなの庭、地域交流スペース、他ユニットの生活風景を感じ取れる配置計画となっている。
■住まいとしての特養
敷地形状に合わせた雁行型の住居棟は2ユニットの水廻り(キッチン・浴室等)とスタッフコーナーを中央にコア状に集約配置し、コアの両翼に各ユニットを配置した。コア周囲には生活者が居場所を選択できるよう共同生活空間であるリビング・ダイニングを雁行型に分散配置しているが、スタッフが日中の多くを過ごすキッチンから見通せる配置としている。
個室を雁行型に配置したことによって生まれた共用廊下空間は、独りで外を眺める場であったり、家族と共に過ごす場であったりとセミパブリックな空間として設えた。
介護保険施設は地域の拠り所として機能すべきである。そのためには地域住民の日常生活の延長線上に位置づけられる必要があり、地域との境界線が緩やかに解かれた高齢者施設のあり方が求められていると考える。